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かつて大海を越え、日本の名を世界に馳せた一群の陶磁器がありました。薩摩、有田、九谷、万古、常滑、そして京阪神、中京、関東地方の数多(あまた)の職人、窯元、商社。彼らの大半は、時代の大きなうねりの中で、もはやその名前さえ覚束なくなってしまいましたが、彼らの足跡は日本の近代産業史に深く、確かに刻まれています。およそ 100 年の星霜を経て、いまふたたび、私たちは彼らの作品の斬新で個性的な造形、思いがけない色彩、繊細で華やかなモチーフの 数々に注目し、ヨーロッパを拠点に広く皆様にご紹介、ご提供して参りました。

西欧の室内装飾を想定して作られた経緯から、今日の日本の住空間におきましては、インテリアとしての面白さもございますので、蒐集家の方はもちろん、初めてご覧になる方も、どうぞお気軽にお訪ねくださいませ。

一同敬白

今季のセレクション

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May 20
May 30
June 10
June 20
June 30
July 10
July 20
July 30
August 10
August 20
August 30
September 10
September 20
September 30
October 10
October 20

取扱商品

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ショールーム

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インフォメーション

 391 - 0114 長野県諏訪郡原村 17217-1672
(中央自動車道諏訪南インターより車で約10分)
電話 0266-78-3992
E-mail : contact @yseult-antique.jp 

休日と開店時間 : 不定期休 10:00~18:00 (12/22~3/21 11:00~17:00)

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ブログ
ブログ 20 OCT

2018年 10月 20日
今季のテーマ  新着の品々から
  このような形の器を作る場合には型を使うのが一般的なのですが、こちらはどうやら別々に作ったパーツを組み立てて作られています。型を使ったものには、把手のほぞ継ぎの部分に継ぎ目がありません。それでも十分に美しいのです。しかし敢えて難しい方法を選んでリアルを追求するためには、陶土、釉薬、炎を自在に操る技術が必要であると同時に、対象を事細かに観察し、再現、再構築する能力も必要です。陶磁器に限らず、金工、木工、漆芸など、明治時代の工芸に見られる技巧の数々には、いつも本当に驚かされます。

参考商品  花鳥図手桶花入  高さ 18.8 cm  口径 12.8 cm

ブログ 10 OCT

2018年 10月 10日
今季のテーマ  新着の品々から
 先日の台風は、庭のカエデの大木を真っ二つに引き裂いてしまいました。倒れた幹の中を見てみると、すかすかのコルク状態の上に、菌類がはびこっています。どうやら寿命だったのでしょう。それでも懸命に生き、毎年美しい紅葉を見せてくれていたことに感謝です。自然のサイクルの一端を庭の一隅で目の当たりにした思いです。
 この時代の瀬戸の美しさには、本当に癒されます。この青。決して薄作りではないのですが、柔らかさまで感じます。

商品番号 1404   秋草図振出  高さ 9.5 cm  底径 4.0 cm

ブログ 30 SEP

2018年 9月 30日
今季のテーマ  新着の品々から
 お茶道具には、どれもそれぞれに繊細な美しさがあって、見飽きることがありません。おもてなし、という言葉は俗になってしまいましたけれど、これらの美しさはすべて客人のためのもの。自分を喜ばせるためのものではなかったことに、はたと気づきます。  九谷の高名な超絶技法による茶巾筒。こちらはその中でも、特に小さなものです。西欧には熱心なコレクターの方が沢山いらっしゃいます。世界にも類を見ない、目眩くミクロコスモス。現在でもこの技法に取り組まれている作家の方がいらっしゃって、頼もしい限りです。

参考商品   金襴細密画茶巾筒  高さ 4.7 cm  径 2.5 cm

ブログ 20 SEP

2018年 9月 20日
今季のテーマ  新着の品々から
    百老シリーズのデミタスが再入荷です。今でしたら、さしずめプリントで大量生産、となりましょうが、この時代は1つ1つ筆による彩色、ステンシル、そしてスタンプで絵付けされています。その「不揃い感」が「ゆらぎ」となって、黒がアクセントの鮮やかな配色にも嫌味がありません。ステンシル、スタンプと聞くと、ひょっとすると手書きよりも簡略なものだと思われるかもしれませんが、曲面への使用には難しさが伴います。しかも6客、12客で1セットですから、その根気と言ったら...。

商品番号 1501   百老デミタスカップ  カップ高さ 5.6 cm  カップ径 5.5 cm  ソーサー径 11.0 cm

ブログ 10 SEP

2018年 9月 10日
今季のテーマ  新着の品々から
  万古の造形の特異さ、面白さは何度も取り上げてきましたが、この作品も忘れられない一品になりそうです。ポピュラーな巾着、袱紗のモチーフ。しかし今回は、紐で絞った口の部分の襞の表現が簡略化されず、実際に粘土を細かく折りたたまれ、しかもその縁に金彩が施されています。一体どんな道具を使って粘土を操ったのでしょうか。高さ、幅ともに1.5cmほどの蓋のつまみは犬になっていますが、首のよだれかけまで緻密に表現されています。このような細かな造作を可能にしているのは、きめの細かい粘土自体の性質はもちろんのこと、作り手の感性と技術の賜物以外の何ものでもありません。大切にしてくださった前の持ち主のご見識にも敬意を表します。

参考商品   秋草文蓋物   高さ 6.4 cm  径 5.7 cm

ブログ 30 AOU

2018年 8月 30日
今季のテーマ  夏のあしあと
 今年の夏は、天災や猛暑など、心から楽しい時間ではなかったように思います。それでもこうして季節は巡りますので、それを前進すると表現すべきでしょうか、それとも取り残されると表現すべきでしょうか。そんな中でも、皆様には大変お世話になりました。感謝、また感謝です。
 次季のテーマは「新着の品々から」。興味深いものたちが入荷しましたので、整理、検品の済んだものの中からアトランダムにご紹介して参ります。それでは、どなた様にも充電、充実の秋が訪れますことを、一同心よりお祈りいたします。

参考商品   秋草図花瓶   高さ 27.0 cm  底径 11.0 cm

ブログ 20 AOU

2018年 8月 20日
今季のテーマ  夏のあしあと
    人智を超えた偉大さ、崇高さを表すために、巨大な像、そそり立つ御堂など大きなものを作ることは、時代や文化を超えて共通しています。ところが一方、衣服、装身具、武器、食器など、身の回りの品々には、驚くべき細密さ、繊細さで技術や装飾が施されます。前者が外へ向かい、多くの人々と共有することを目指すものであれば、後者は手にする人々の内へ内へと向かう、とても個人的な世界だと言えましょう。このようなデミタスは、やはり親密でプライベートな空気を分かち合う時間のためのものでしょうから、思い切り近くから、矯めつ眇めつ眺めて楽しむような微細な絵付けになっています。そうそう、ホテルやカフェなどの公共の場所で、食器に顔を擦り付けて眺めることは無作法ですもの。

参考商品   花詰デミタスカップ   カップ高さ 4.8 cm カップ径 4.7 cm ソーサー径 11.0 cm

ブログ 30 JUL

2018年 7月 30日
今季のテーマ  夏のあしあと
  こちらの水滴は、もしかしたら日本のものではないかもしれません。いずれにしましてもこの大きさからすると、当時のお役所や絵師のアトリエなど、一度に沢山の墨を要する場所で使われていたのでは、などと想像してしまいます。少なくとも携帯用、女性用ではなかったでしょう。西欧の方々がこの器の用途をご存知だったかどうか、それは定かではありませんが、真白な紙、墨を擦る心地よい音などに、清々しさや涼感を覚えたりすること、これは私たちが東洋の者である証の一つです。

参考商品  山水図八角水滴   高さ 6,0 cm    径 10.7 cm

ブログ 20 JUL

2018年 7月 20日
今季のテーマ  夏のあしあと
  祖母がよく、器用にもブリキの茶筒を枕にうたた寝をしていました。時代劇風の枕に親しんでいたとは思えないのですが、いつ頃から枕が西欧化したのか、いつか調べてみなくてはなりません。なぜこんな話を、と申しますと、先日、陶枕の作家の方とお話をする機会があったからです。うなじに近い方にフィットさせると、より心地よい冷たさが感じられるとの事。試させていただいたのですが、柔らかな枕に慣れた頭には、やはり少し硬すぎました。ただ、冷んやり感は抜群。冷たくて柔らかい枕はないものかと考えてしまう、昨今の暑さです。

 参考商品  牡丹図皿   径 21.7 cm

ブログ 10 JUL

2018年 7月 10日
今季のテーマ  夏のあしあと
 この度の大雨の犠牲になられた方々を悼みます。そして、被害に遭われた方々、そのご関係の方々に、心からお見舞い申し上げます。どうしてこんなことが起こるのでしょう。世の不条理に絶句します。
 たとえわずかでも刻一刻、普通の暮らしへと近づきますように。何ということもない時間こそが実は何よりも貴重なものだと、私たちも共に、改めて強く感じております。

 

ブログ 20 JUN

2018年 6月 20日
今季のテーマ  夏のあしあと
   こちらも、前回と同じ青い鳥のモチーフの一点。先のカップより、時代は下ります。磁器の質感を前時代のものと比較すると、もはや薄いガラス質ではなく、重さ、なめらかさ、透明感など、現在のものと殆ど変わりません。当時、すでに特許の制度は存在していましたが、著作権に関する意識はおおらかだったのでしょう、オリジナルとは異なる複数のメーカーで作られていることがわかります。テーブルウェアの他に、このような入れ物や花瓶など、世界に散らばった単品を根気よく収集する楽しみのあるシリーズのひとつです。

参考商品   青鳥文三脚蓋物    高さ  9.5 cm    蓋径 11.5 cm

ブログ 30 JUN

2018年 6月 30日
今季のテーマ  夏のあしあと
 あっけなく梅雨が明けました。庭のバラたちにとっては、雨傷みの心もとさもない、本来の花を咲かせられる千載一遇の機会です。但し手入れをする側からすると、炎暑と紫外線にさらされる、あまり心地よくない状況になってしまいました。高原でさえこの有様ですから、平野部の方々はいかばかりかと心配です。暑さに身体が馴染むまで、皆様、特段のご自愛を。
 こちらの作品の時代は少し下るのですが、世界に名の通る深川の紺青が本当に奇麗です。涼しげな様子に、少しでも癒されて頂ければ幸いです。ちらの作品の時代は少し下るのですが、世界に名の通る深川の紺青が本当に奇麗です。涼しげな様子ければ幸いです。

商品番号:1302  飛鶴波涛図花器  高さ 14.2 cm 口径縦 12.2 cm 口径横 15.6 cm

ブログ 10 JUN

2018年 6月 10日
今季のテーマ  夏のあしあと
 この青い鳥のモチーフのオリジナルは京都のメーカーのものです。陶磁器の輸出高が増えていくにつれて、生産拠点は名古屋へと移りましたが、もちろん青い鳥たちも一緒です。金の微細なビーディング、アールデコ調の装飾、エアブラシを使ったぼかしの背景など、小さな空間に惜しみなく時間と手間のかけられた製品の人気が高かったのでしょう、その後、長きに渡り作られ続けます。青、灰緑、グレー、そして金。シックな配色は重厚な家具調度によく合います。風の動きを感じる一品。

参考商品   青鳥文カップ    カップ高さ  6.6 cm    カップ径 7.3 cm  ソーサー横幅 21.2 cm

ブログ 30 MAI

2018年 5月 30日
今季のテーマ  春、ふたたびの
 日々の暮らしの中で、完璧、という言葉にふさわしいものに出会うことは稀ですが、香蘭社の磁器に、これほど似つかわしい表現はないでしょう。幾何学的な計算を感じさせない柔らかさ、しっとりとした触感、取っ手や蓋などの曲線にまで施された細密な文様、すべてが調和のもとにあるのです。うっとりと眺めてしまいます。
 この春も、皆様には大変お世話になりました。心から御礼申し上げます。次季のテーマは「夏のあしあと」。爽やかで清々しい器の数々をご紹介できればと思います。暑さへと向かいます折、どうぞ皆様、お元気でお過ごしになられますよう、一同心よりお祈りいたします。

参考商品   松竹梅図シュガーポット    高さ  10.6 cm    底幅 10.6 cm

ブログ 20 MAI

2018年 5月 20日
今季のテーマ  春、ふたたびの
  こちらの花瓶には有名な綿埜の銘がありますが、とても小ぶりな、可愛らしいサイズになります。底を絞った形ですので、揺れにはかなり弱く、置き場所など注意と工夫が必要です。そういえば、かつて考古学の授業で、土器をテグスで固定する実習がありました。ロープや紐、時にはボウタイにでさえも四苦八苦するというのに、不定形で壊れやすいものの上に、透明な、滑りやすく硬いもので、目立たない上に解けない結び目を作る難しさといったら。今になってみると、もっと学んでおけばよかったと悔やまれます。

商品番号 1135   花鳥文花瓶    高さ  14.9 cm    底径 3.6 cm

ブログ 10 MAI

2018年 5月 10日
今季のテーマ  春、ふたたびの
  西洋ボダイジュの並木道にある小さなカフェで、買い取りのご依頼をされた老婦人と待ち合わせをしました。お祖父様がアジアを中心とした貿易に携わっていらっしゃったということで、マカオ、上海、長崎などの地名の聞こえる、楽しい思い出話を沢山お伺いできました。映画のような冒険譚こそお聞きにならなかったとのことですが、小さな頃は居室の棚に並べられた海の彼方の品々から、いろいろなことを空想してみたそうです。こんな風に、どれほど多くの陶磁器が異国の地を踏んだことでしょう。私たちからすれば、ともするとありふれた、単なるお土産品なのかもしれないのですけれど、これらには美術品とはまた違った価値があるように思います。

商品番号 1113   花鳥文カップ    カップ 高さ  5.2 cm    カップ 胴径 8.7 cm  ソーサー 径 14.2 cm

ブログ 30 AVR

2018年 4月 30日
今季のテーマ  春、ふたたびの
 「羽衣」は、数ある能の演目の中でもよく知られ、人気のあるものの一つです。春風の寄せる長閑な松原の情景と、たなびく天女の羽衣の組み合わせは本当にふさわしく、実に美しいものです。天のものは天にあってこそ。帰らねばならず、帰さねばならず、地に留め置くことは無慈悲なこと。羽衣を返すことを渋った漁夫が、最後には自らを恥じ、繰り広げられる天上の舞を見上げ、感嘆する様を見ると、美しいものたちは何処からやってきて、何処へ行くのか、そんなことを考えてしまいます。
 羽衣伝説は西欧で広く知られているわけではありませんが、もしも前の持ち主の方々がご存知だったのなら、きっと楽しく眺めていらっしゃったのではないかと思います。

商品番号 1115   羽衣図花瓶    高さ  18.0 cm    胴径 9.5 cm

ブログ 20 AVR

2018年 4月 20日
今季のテーマ  春、ふたたびの
 素焼き、素焼きの風合いの食器は、料理の見た目を上げる一方で、主婦の目線からすると洗いにくく、歳月と共に清潔感が失われます。もちろん、適宜扱えば問題はないのですが、忙しい家事の合間に特別なことをしなくてはならないとなると、いつの間にか使われなくなってしまうもの。普段使いの器は、、やはり使い勝手優先のものが一番のように思います。
 ゆったりと時の流れていた時代には、扱いにくい器も、心からのもてなしのために惜しみなく使い、大切に手入れもしていたことでしょう。効率、コスパが基準の現代から見ると、羨ましくもあったりします。

商品番号 1111   亀甲文蓋物    高さ  7.1 cm    径 11.0 cm

ブログ 10 AVR

2018年 4月 10日
今季のテーマ  春、ふたたびの
 餌の少ない早春、ヒヨドリは庭のシデコブシ、クロッカス、早咲きのシャクナゲなどの花や蕾を目ざとく見つけては啄ばんでしまいます。そこで少しでも注意をそらすため、傷んだリンゴやオレンジなどを切り分けてあげなくてはなりません。あと幾度の春を楽しめるかと思うと、野生動物への餌やりには功罪がある事を知りつつも、止むに止まれず続けています。
 こちらは菱形をした花瓶です。同工異曲の花瓶は殆どが正四面体ですので、珍しいと言っていいでしょう。独特な器形の余白を活かした絵付けです。

商品番号 1335    生花文花瓶    高さ  10.0 cm    横幅 12.3 cm

ブログ 30 MAR

2018年 3月 30日
今季のテーマ  春、ふたたびの
 かつて、この高原のスズメたちは冬になると平地へと去り、春になると戻ってきたとのこと。その姿は春の使者だったわけです。ところが今日、彼らは高原に留まって冬を越します。森林が切り開かれて草の実る野原が増えたり、図らずも牧場や人家が餌を提供している事もあるとは思いますが、やはり一番の理由は冬が暖かくなったからでしょうか。人間には感じとることのできない微かな変化も、生き抜かねばならない動物たちは敏感に察知しているものです。
 可愛らしいスズメはもちろん、幾何学的な面取りの施された面白い一点です

参考商品   遊雀図土瓶    高さ  13.5 cm    幅 13.5cm

ブログ 20 MAR

2018年 3月 20日
今季のテーマ  春、ふたたびの
 一般的に、ブログにネガティブな内容は御法度なのだと思いますが、初めて今回、悲しかったことを記します。長年お付き合いのあった業者さんから、信じられないような損害を受けました。10年以上も取引がありましたので、その衝撃には計り知れないものが。貧すれば鈍すると申しますし、信頼を犠牲にしなくてはならないような危機や変化があったのでしょう。事を荒立てる甲斐もなく、寧ろ自照すべき機会をいただいたと考えることにしました。私たちには、お客様のご愛顧を踏みにじることなどできません。お客様に喜んでいただけることが私たちの喜びであることを改めて感じる出来事でした。一層の努力をと、叱咤激励いただいたものとの思いです。
 こちらの絵付けの無邪気な明るさ。救われます。

商品番号 1105     観桜園遊図プレート    径  24.5 cm

ブログ 10 MAR

2018年 3月 10日
今季のテーマ  春、ふたたびの
 スノードロップはフランス語で "perce-neige" 、「雪を突き破る花」。日本語ではユキワリソウ(雪割草)にニュアンスが近いのですが、この名前は既にミスミソウやサクラソウを指しますので、残念ながらカタカナ英名表記に甘んじるほかありません。花も実もない庭の片隅でこの花を最初に見つける喜びは、極寒の高原ならではのものです。
 こちらは70年代の終わりに限定販売されたノリタケの飾り皿の1つ。春夏秋冬、4枚揃えたいというお客様からのご依頼で探しました。ご希望に添うことができまして何よりです。それにしましても、もう40年の歳月が...。うかうかしてはいられません。

参考商品    ノリタケ飾り皿「四季より春 」    径  21.0 cm

ブログ 28 FEB

2018年 2月 28日
今季のテーマ  燃ゆる赤、映ゆる紅
 輸出陶磁器の花瓶の中には、例えば穴が穿たれてランプのベースに利用されるものがあります。皿には壁掛け用の金具が、そして小さな鉢や壺などには、この商品のように真鍮などの台がつけられたり。これらの加工は輸出先で行われたと思われますが、手の込んだ装飾の施されたものも少なくなく、人気のコレクターズ・アイテムの1つです。
 大寒以降の寒さはひとしおでしたし、大雪の被害もあった長い冬でした。そのような中で、皆様には変わらぬご愛顧をいただきました。一同、心よりお礼申し上げます。次季のテーマは「春、ふたたびの」。鮮やかで喜びに満ちた色や意匠をお楽しみいただければと思います。

商品番号 1111  真鍮脚付花鳥図小壺    高さ 13.5 cm   幅  17.0 cm

ブログ 20 FEB

2018年 2月 20日
今季のテーマ  燃ゆる赤、映ゆる紅
  久しぶりにヴィエニャフスキの「モスクワの思い出」を聴きました。前半に使われている「赤いサラファン」の歌詞が胸に迫ります。血気盛んな頃には、年をとればわかる、などと言われて実感がわかなかった物事も、齢を重ねるにつれ、なるほど確かに共感できるようになるものです。それにしても、外国曲のかつての訳詞の中には、原詩の内容を伝えつつ美しい日本語で仕上げる、驚くべき技法が凝らされていました。俳句や和歌など、字数の限られた定型詩の表現に慣れ親しんだ文化ならではのことだったように思います。文語調は古めかしく感じられるかもしれませんが、格調、余韻、風情など、口語調に代えがたいものです。

参考商品   童子遊図赤絵花瓶    高さ 33.3 cm   底径  14.0 cm

ブログ 10 FEB

2018年 2月 10日
今季のテーマ  特別編
  この度の北陸地方の大雪は他人事ではありません。忘れもしない2014年の今頃、こちらも1メートルの雪に道路網は寸断され、雪の平原と化した山野には人気もなく、どこまでも静けさだけが広がっていました。ここはシベリア、それともパタゴニア?! 行政や消防団の方をはじめ、重機を持っている個人や企業の方々が自主的に除雪してくださっていたことを思い出します。人のために頑張ってくださる方々がいらっしゃる一方で、除雪を巡って浅ましいご近所トラブルも。人間性の光と影を目の当たりにしました。ただ1つの慰めは、雪がいつかは融けてしまうことでしょうか。皆様どうかご無理なく、特に足元と頭上にご注意を。1日も早く春の暖かさが訪れますように。

商品番号 1301   冬景色図カップ    カップ 高さ 4.5 cm   カップ 径  9.2 cm  ソーサー 径 13.7 cm

ブログ 30 JAN

2018年 1月 30日
今季のテーマ  燃ゆる赤、映ゆる紅
 輸出陶磁器の形体の中で、とりわけ飾り花瓶、そして急須や土瓶などの注口付きの器の独創性には目を見張るものがあります。一体どこから着想を得、何がお手本だったのでしょう。今日のインターネットは、決して訪れることのない地球の反対側で作られている器でさえも検索して見ることを可能にしました。それにひきかえ、書物や写真、人づてに聞いた間接的な情報しかなかった時代に頼りだったのは、専らそれらを感性で膨らまし、三次元化する創造力だけ。例えばこの花瓶には、面取りや襞など、今日の一般的な鶴首にはない細かな芸が施されています。もちろん時代の求めも変わるでしょう。それでも、情報さえ豊かならば創造力も高まるとは一概に言えない所に、芸術の深遠さを見る思いです。

商品番号 1108   花鳥図鶴首花瓶    高さ 31.5 cm   底径  6.5 cm

ブログ 20 JAN

2018年 1月 20日
今季のテーマ  燃ゆる赤、映ゆる紅
  初めて辰砂の花瓶を見た時に、吸い込まれそうな深みと、まだ熱い飴のような不思議な艶に息を飲みました。魔力、という言葉が浮かんでくる釉薬です。こちらの花瓶に辰砂は使われていませんが、顔の映りそうな光沢のある赤がとても美しく、まるで濡れているかのような質感があります。イギリスのポーツマス近郊の小さな港町で買い付け、一つずつ梱包して同時に送りました。片方は無事に届いたのですが、待てど暮らせど、もう片方が届きません。すわ紛失かと諦めかけていた頃、ひょっこり到着してびっくり仰天。消印には、どうして生き別れになったのかを知る手がかりはありませんでした。そんな思い出のある一点です。

商品番号 1103   白花図花瓶一対    高さ 25.2 cm   底径  7.2 cm

ブログ 10 JAN

2018年 1月 10日
今季のテーマ  燃ゆる赤、映ゆる紅
 皆様、本年もどうぞ宜しくお願い致します。
 この地域の神社を訪れると、蚕を祀った祠や石碑が沢山見られます。昭和50年代頃までは、まだ街のあちらこちらで糸取りの独特のにおいがしていましたし、桑畑も沢山ありました。それにしても、お蚕様、と最上級の敬語で呼ばれ、信仰の対象でもある昆虫は、恐らく蚕だけだと思います。陶磁器に蚕の絵付けをするのも、やはり富と豊饒を願ってのことでしょう。この凝ったデザインの皿は、桑の葉や蚕のモチーフもさることながら、菊花を散らした赤と金のアラベスクの部分に欧風の香りがします。初春に当たり、皆様の豊かな一年を願って、この一点を選びました。

商品番号 1307      蚕文桑葉皿    径  20.4 cm

ブログ 30 DEC

2017年 12月 30日
今季のテーマ  燃ゆる赤、映ゆる紅
 漢字の「茜」に、西が使われているのは、やはり夕空の色からでしょうか。確かトマトを漢字で「西紅柿」と書いたと思いますが、この「西」は舶来の、という意味だと思いますので、西と赤が結びつく言葉は、他にはすぐに浮かんできません。しなしながら、アカネの根で初めて布を染めてみよう、と考えた昔の人が媒染のあと、落日の色に染まった布に初めて立ち合えた瞬間を想像しては、心が震えます。
 本年も皆様には本当にお世話になりました。どなたにも等しく、また素晴らしい一年が訪れますよう、一同心からお祈り致します。どうぞ良いお年をお迎えください。

商品番号    1314       秋草貴人図皿    径  20.0 cm

ブログ 20 DEC

2017年 12月 20日
今季のテーマ  燃ゆる赤、映ゆる紅
 今年はショールームの庭のショウキウツギの枝を剪定しそびれてしまいました。枯れ姿の花穂が、弓なりの枝の上に行儀よく並んでいます。今朝はその上に雪の綿帽子。まるで白い花が咲いたかのように輝いて、その一角を明るく照らしています。きっと仕事をさぼるのは良くないことなのでしょうけれど、時にはこのような思いがけない果報があるものです。
 こちらは、輸出陶磁器に興味を持つきっかけとなった一点。西洋の食器に和の絵柄、という組み合わせがとても新鮮に感じられた出会いを、今も鮮やかに思い出します。現在の技術で同じ物を再現しようとすると、残念ながらキッチュが勝ってしまいますので、やはり時の流れが魅力を添えていることは確かです。

参考商品   人物図シュガーポット    高さ  14.0 cm   胴径  7.3 cm

ブログ 10 DEC

2017年 12月 10日
今季のテーマ  燃ゆる赤、映ゆる紅
 古くに海外から輸入されたバラには美しい和名が付けられていることがあります。マダム・アベル・シャトネは鳴海、フラウ・カール・ドルシュキは白不二、レディ・ヒリンドンは金華山でした。牡丹や椿の品種名に並ぶ立派な名前です。カタカナ表記の本名が普通になった今日からすると、かえって新鮮な感じがします。
 バラが日本の陶磁器の絵付けに頻繁に登場するようになるのは明治時代以降です。西欧の陶磁器に描かれるようなスタイルのバラならばいざ知らず、南画の画題にもなりそうな東洋のバラもですので、にわかに取り上げられるようになった理由が、何かきっとあったのでしょう。バラといえば赤が真骨頂だからでしょうか、九谷風の赤絵の陶磁器によく施されるモチーフであることも特徴の一つです。

商品番号 1330    赤絵薔薇図象耳花瓶    高さ  15.0 cm   胴径  7.4 cm

ブログ 30 NOV

2017年 11月 30日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
 こちらのセットは恐らく昭和時代、第二次世界大戦前後に輸出されたものです。ずっしりとした硬質の磁器の質は現在のものと比べても遜色なく、日々の実用にも十分に堪えるもの。工場の機械化が進み、同じデザインのものを大量生産できる体制が整っていたことが分かります。陶磁器の本格的な輸出が始まって半世紀余り。ここまで到達したのです。
 さて、皆様には今季も大変お世話になりました。ありがとうございます。次季のテーマは「燃ゆる赤、映ゆる紅」。赤いもの、赤がアクセントとなっているものをご紹介いたします。早いもので、今年も残すところ後わずか。この年の瀬が皆様にとりまして、穏やかで笑顔の絶えないものでありますよう、一同心からお祈りしております。

商品番号 1104    紅葉文コーヒーセット    ポット 高さ16.4 cm  底径 6.3 cm シュガーポット 高さ 7.7 cm 底径 5.5 cm  クリーマー 高さ8.0 cm 底径4.2 cm カップ 高さ5.1 cm  径 6.2 cm  ソーサー 径 9.8 cm

ブログ 20 NOV

2017年 11月 20日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
  オールドノリタケは、その人気ゆえに偽物が作られることもしばしばで、これは蒐集する側にとっても、販売する側にとっても由々しき問題です。初期の偽物は明らかにノリタケのレベルに達していませんでした。ところが近年の、いわゆるスーパーコピーと呼ばれる代物は、なかなか手強い出来映えです。それだけの技術があるならばオリジナルで勝負しても良さそうなものなのですが、悪意と欲望とが結託すると、悲しいことに良心は太刀打ちできないのでしょう。ポジティブに考えれば、それだけノリタケの魅力が唯一無二のものだという証しなのですが。気をつけるに越したことはありません。

商品番号 1201    金彩キャンディートレイ    高さ 5.2 cm   径 20.8 cm

ブログ 10 NOV

2017年 11月 10日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
  骨董の世界でも、近年の中国資本の影響には驚くべきものがあります。反発と迎合とが交錯する状況の中、全体的に価格が押し上げられてしまったことは事実です。個人的には、大切にしてくださる収集家の手元に届くのであれば構わないのですが、こと日本のものに限っては、できれば日本にあってほしいと思う気持ちもあります。例えば、この花瓶の技法。現在、この手間暇と時間をかけた手仕事で同じものを作成するとしたら、職人さんの熟練に要する時間も含めて、とても採算の合うものではありません。技術のみならず、時代や経済の状況まで、様々な条件の交点に生まれたものです。近代日本産業史の最も美しい遺産のひとつ、そんな表現が浮かびます。

商品番号 1317    流雲盛上花瓶    高さ  24.3 cm   胴径  14.0 cm

ブログ 30 OCT

2017年 10月 30日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
  20年ほど前のこと、イタリアで「たまごっち騒動」が起きたことをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。仮想ペットの死にショックを受けた子供が不登校になったとかで、たまごっちを有害玩具に指定するか否か、議会やマスコミが喧々諤々。子供に死を教える必要はない、日本人は何と残酷な、けしからん、という見解が大半で、日本人の私は肩身の狭い思いをしたものです。何の知識もなく広重の「深川萬年橋」を見た西欧の方が、クジラだけでなく亀まで虐待するなんて、やっぱり日本人は野蛮、などという感想を持つのは仕方のないことでしょうか。実は虐待どころか、西欧では想像できないような、慈愛に満ちた行事を描いているのですが。この皿の絵付けの構図はどうしても、この広重の名作を経て、たまごっちと結びついてしまいます。

商品番号 1312  灯籠風景図皿    径  21.1 cm

ブログ 20 OCT

2017年 10月 20日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
 森林限界に近い開けた秋の山の斜面では、鳴き交わす鹿の声が遥か下の谷間から昇ってきます。枯れ枯れとした草の間に間に、ほんの時折、目の覚めるようなリンドウの紫や、咲き遅れた野路菊の淡い藤色が目に飛び込んでくるのを除けば、深く長い眠りに就こうとしている高原はどこまでも穏やかな景色です。踏みしめる自分の足音にさえ驚くほどの静けさ。鹿の声を悲しいと詠った名歌を思い浮かべますが、ここではむしろ、生命を哮(たけ)っているかのように聞こえます。もしも死者の国があるとしたら、遠くかすかに生者の営みを聞く、こんなにも優しい、静かな場所でしょうか。この山に暮らすようになってから、秋が一番好きな季節になりました。

商品番号 1108  紅葉に鹿図蛤蓋物    横径  13.7 cm  高さ 9.8 cm

ブログ 10 OCT

2017年 10月 10日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
 日本古来の植物ではないにも関わらず、この国の風土や感性に早くから馴染んで、今では日本の風物詩になってしまったものが沢山あります。例えば、コスモス。きっと、しなやかに風を受ける草姿が日本の秋の風情にぴったりだからでしょう。不思議なのは、この花がフランスでも非常にポピュラーで、普通にどこでも見られる上に、フランスの風景にも自然に溶け込んで全く違和感が感じられないことです。誰からも好かれて、どこでも受け入れられてしまう、そうした植物は稀なものです。もちろん、様々な気候や条件に適応する、その植物自体の逞しさもあるのだと思いますが。             
 コスモスが戦前の陶磁器に既に描かれるところを見ると、その広がりと受容が急速なものだったことが分かります。その理由や背景にも興味深いものがあります。

商品番号 1403  秋桜図ボウル    径  14.0 cm  高さ 5.2 cm

ブログ 30 SEP

2017年 9月 30日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
 今日のように、ありとあらゆる甘いものが簡単に手に入らなかった時代には、トレイに並べられたキャンディーの鮮やかでとりどりの色彩は、夢のような特別な時間を象徴するものでもあったでしょう。子供たちにとって、赤はイチゴ、黄はレモン、緑はハッカなど、視覚と味覚を結びつける、当たり前なのだけれど、よく考えてみると不思議な感覚を学ぶ機会だったようにも思います。英国式のお茶会の習慣のない日本では、もちろんこうした器に需要はありませんでしたから、当時の日本製のキャンディー・トレイは専ら輸出用。決して自分たちでは使うことのないものを、買い手のニーズに合わせて作るのですが、そこに日本の、また東洋的なモチーフをあしらうことは、果たして先方の希望だったのでしょうか、はたまた作り手の発想だったのでしょうか。

商品番号 1101  牡丹文キャンディー・トレイ    径  22.2 cm  高さ 5.4 cm

ブログ 20 SEP

2017年 9月 20日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
 世界の陶磁器の歴史を見渡しても、一つの国の製品が、臨機応変にその姿形を変えつつ、世界中にこれほど大量に散在する例はないでしょう。これには様々な機会が重なったこと、例えば、進取の気質に富んだ日本の窯業の才覚はもちろん、造船技術と航海術の発展、実用に加え、美しさを求める豊かさと余剰の発生、西欧と日本との物価の差、そして何よりもジャポニズムの影響があるでしょう。それにしても、今日の世界の中での日本の産業の地位は、既に明治時代にその礎があったことに驚嘆します。
 金と青との組み合わせの妙もさることながら、このアラベスクの広がりは見飽きることがありません。地の淡い卵色も、繊細かつ効果的な反対色の使い方です。この計算が科学的なものなのか、本能的なものなのか、想像が駆け巡ります。

商品番号 1405  鳳凰文ピッチャー    高さ 20.5 cm  口径 8.2 cm

ブログ 10 SEP

2017年 9月 10日
今季のテーマ  雑 - ざふ -
 ノリタケの創造性の軌跡は、装飾を前面に打ち出したものに端を発し、次いで装飾と実用とのバランスが図られ、漸次、用の器へと移行していきます。このシュガーポットは、装飾と実用との調和の追求された時期のもの。磁器の食器に求められる清潔さが白い無地で表され、華やぎや色香を添える装飾は全体の1/4から1/5の面積に抑えられています。豪奢を披瀝するのではなく、日々の暮らしの中、いつも傍らに置いて楽しめるものを目指しているのが分かります。しかし単純化などではなく、繊細な中間色、落ち着いた金彩、細密な手仕事の盛上げとビーディング、そして、何と言っても余白と装飾との絶妙な案配など、手の込んだ仕事です。大戦や大恐慌を挟んで、人々の生活も価値観も変わりました。その中にあって、世界の人々に、美しいものを愛でるという豊かさを決して失わせなかったノリタケの姿勢には、敬服すること頻(しき)りです。

商品番号 1402  葡萄蔓文シュガーポット    高さ 11.0 cm  口径 9.0 cm

ブログ 30 AOU

2017年 8月 30日
今季のテーマ  あな、いとけな
  当時、海外の需要に応えるため、小学校を出たか出ないかの子供たちが絵付けの作業を担っていたことがありました。お世辞にも上出来とは言えないこれらの絵付けが、見よう見まねの幼い手によるものだったのかもしれないと思うと、美術品として取引される製品とはまた違った価値のあるものだと気付かされます。前世紀末頃までは、実際に携わった方々もご存命だったと思いますので、お話を聞ける機会があったかもしれません。
 今季も皆様には大変お世話になりました。思いがけない天候不順から、いつもの高原の夏ではなかったことが残念です。秋の紅葉への影響は想像できませんが、キノコは豊作になりそうな予感がします。次季のテーマは「雑  -ざふ -」。過去のテーマで扱われなかったものにスポットライトを当てます。残暑も、あと一山。皆様、どうぞお元気でお過ごしになられますよう、心よりお祈り致しております。

商品番号  参考資料  デミタス碗セット(部分)   カップ 高さ  5.5 cm  カップ 径 5.3 cm  ソーサー 径   11.3 cm

ブログ 20 AOU

2017年 8月 20日
今季のテーマ  あな、いとけな
 自宅の庭の石垣にシマヘビが住んでいて、先日、ミニチュアのような子供たちの姿がありました。特にヘビが好きなわけではなく、彼(彼女?)が芝生の上を散歩していたりすると、どきっとしてしまったりするのですが、その子供たちの姿は何となく可愛らしく思えてしまうのです。子供たちの小さな姿を愛おしく思い、守ってあげなくてはと思うのは本能なのかもしれません。しかしながら、異なる種に対してもそんな感情が生まれるのは不思議なものです。上野のパンダの子供の映像に釘付けになってしまう自分が、我ながら可笑しくて仕方ありません。
 白い釉薬の中には、時間の経過とともに生成りの白に褪せていくものがあります。絹の白と、麻の白の違いとでも言いましょうか。前者はモダンな素材や調度に、後者はアンティークや東洋のものに良く合います。古色を強調したい場面では、このような花瓶がとても重宝します。

商品番号 1106  桜下母子図花瓶    高さ 29 cm   底径 8.2 cm

ブログ 10 AOU

2017年 8月 10日
今季のテーマ  あな、いとけな
 残暑お見舞い申し上げます。炎暑が続きますので、皆様、どうぞお体を大切にお過ごしください。
 こちらは、お食い初めのお膳の食器の1つです。独特な形をしています。もちろんフランスには同じような伝統や習慣がありません。強いて言うならば洗礼式でしょうか。日本のように子供用の食器ではなく、小さな可愛らしい銀のスプーンやフォークを誂(あつら)えたりするのですが、子供の名前やイニシャルが刻まれているなど、愛情のこもった、一生ものの贈り物です。アンティークショップのケースの中などで見かけるたびに、思わず元の持ち主の人生を想像したりしてしまいます。

商品番号 1303  子供用蓋物    高さ 8.2 cm   幅  9.0 cm

ブログ 30 JUL

2017年 7月 30日
今季のテーマ  あな、いとけな
 ある日、森の小道を車で走っていると、急に飛び出してきた一羽の大きなノウサギが後輪に巻き込まれてしまいました。何とか気を奮い起こして引き返し、除雪用にトランクに積んでいたシャベルで森の一隅に埋葬しました。その後しばらく落ち込んでいた私に、親友がこう言うのです:「ウサギにはウサギの天国があるから、きっとそこにいるよ」。ウサギの天国を想像することで、どんなに救われたでしょうか。今でもそこを通るたびに思い出します。
 日本の陶磁器の影響を受けた西欧の陶磁器を、いつか整理してご紹介できればと思いつつ、未だに手をつけられていません。こちらはイギリス製の陶器なのですが、なかなか面白い雰囲気です。日本文化の本質の一端が、反対方向から明らかになるかもしれません。

商品番号 1302  釣童子花瓶    高さ 19.8 cm   底径 8.6 cm

ブログ 20 JUL

2017年 7月 20日
今季のテーマ  あな、いとけな
 ドビュッシーの「子供の領分」は、とても簡潔なテクスチュアで書かれていて、時に音が少な過ぎるのではと心配になるほどなのですが、このお陰で、却って作曲者が傍で弾いてくれているのかのような気分にさせてくれます。しかし、紡ぎ出される音の世界は、決して単純ではありません。子供は単純ではありませんから、まさにその通り、です。一方、「おもちゃ箱」という作品の楽譜はイラスト入りの楽しいもので、こちらは実際に子供と一緒にピアノに向かって演奏できるようになっています。作曲者の子煩悩ぶりに癒されてしまいます。
 何よりもまず、赤と青とのコントラストが目を射抜きます。ありそうな組み合わせなのですが、時代、釉薬、焼成温度など、様々な条件の組み合わせで独特な雰囲気が生まれるもの。遠くからも人目を集めたい場所におすすめです。

商品番号 1309  唐子図皿    径 21.8 cm

ブログ 10 JUL

2017年 7月 10日
今季のテーマ  あな、いとけな
 この度の災害に遭われた方、そのご関係の方々に心よりお見舞い申し上げます。救助や復旧に当たられている方々もご無事でいらっしゃいますように。たった一日にして、生活も、人生も、そして慣れ親しんだ風景も一変してしまう恐ろしさ。言葉がありません。
 日本では殆ど話題にならなかったのですが、昨年ミシェル・デルペッシュが亡くなりました。彼の歌に、洪水に失われた家を小高い丘の上から、涙に暮れる妻と眺める曲があって、もちろん音楽と実際の苦難を比べるべくもないのですが、それでもやはり胸に迫るものがあります。特にこの数日は。心を強く持ちたいと思います。

商品番号 1208  唐子図花瓶      高さ 12.1 cm  胴幅 6.9 cm

ブログ 30 JUN

2017年 6月 30日
今季のテーマ  あな、いとけな
 先月のこと、お田植えの準備に馬を使っていらっしゃる光景に出会いました。行き交う車は速度を緩め、車を降りて写真を撮る人も。観光イベントではなさそうでしたので、その方と馬にとっては、きっと普段のことだったのかもしれません。田の中の春の道を、馬を引き引き歩く自分の姿を想像したら、なんだかとても癒されました。
 奇想の隅田焼は、国内外に熱烈なコレクターが沢山いらっしゃいます。どちらかと言えば重量感のある、凝りに凝ったものが多い中で、こうしたすっきりとした小品、しかも天真爛漫な子供のモチーフは、身近な場所に置いて、眺めては和まされるものです。春駒ではなく、西洋のものに近い木馬ですので、夢のような疾走感も感じられます。

商品番号 1203  騎馬童子図花瓶      高さ 16.9 cm  胴幅 10.4 cm

ブログ 20 JUN

2017年 6月 20日
今季のテーマ  あな、いとけな
 豊かさとは何か、という問いの答えは、時代や文化の違いによって様々ですが、この言葉には、物質としての裕福さだけでなく、値段や数値では量れない富も含まれています。楽しげに遊ぶ子供たちの無邪気な姿、そして、それを眺める大人の優しい眼差し。これは平和で豊かな世の中を映す鏡の一つであって、明るい色彩と共に繰り返し現れるモチーフです。
 当時はシノワズリも大変な人気でしたので、唐風の文物が描かれることも珍しくありません。これは西洋皿、しかも桜を背景に戯れる中華服の子供たちという、三つの文化が混在した不思議な世界。大きさを画像でお伝えするのは難しいのですが、立てかけても平らに置いても、かなり存在感のあるサイズです。

商品番号 1105  唐子図プレート      縦 18.5 cm  横 27.7 cm

ブログ 10 JUN

2017年 6月 10日
今季のテーマ  あな、いとけな
 19世紀後半に、当時の欧米の人々を魅了した絢爛たる薩摩焼。美術品に目の肥えた特権階層のみならず、生活に余裕のある社会階層に広く需要が生まれました。そこで、大量に薩摩 "風" の絵付けの陶磁器が七つの海を渡ることとなります。量産のためには、質、時間、技術などのバランスを工夫しなくてはなりませんし、最高級品でなくとも楽しみたい、という人々の市場を獲得する必要もありました。類型化され、ある意味で機械的に作られた作品群ですが、今日の私たちの目には、キッチュで面白く映ります。100年といえば凡そ4世代でしょうか。人の感性もまた、移ろうもの。
 セットの中で、クリーマーは無傷で残る確率が高く、かさばらない大きさですから、集めても飾っても、とても可愛らしいものです。

商品番号 1105  金彩クリーマー     高さ 11.7 cm  胴径 7.8 cm

ブログ 30 MAI

2017年 5月 30日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 縄文時代の注口土器には、既に今日の急須、土瓶たちの面影があります。把手や "つる" が付けられるのは後代のこと。きっと薄手のものを作る技術が進み、直に熱い器に手を触ないようにする必要が出てきたからでしょう。蓋の穴は、恐らく当初は紐などで本体に固定するためのものだったようですが、結果として科学的な利便性を備えたものになりました。本当に興味深いものです。このテーマの最後に、大好きな一点を。"つる" が磁器で出来ており、本体に取り付けられていますので、使い勝手からして、予め飾ることを目的に作られたものかもしれません。
 今季も皆様には大変お世話になりました。本当にありがとうございました。春まだ来、そして春の盛りの高原も楽しんでいただけましたら幸いです。次季のテーマは「あな、いとけな」。子供たち、特に唐子のモチーフに注目します。これから暑さに向かいます折、どうぞ皆様が健やかに過ごされますよう、一同心よりお祈り致します。

商品番号 1103   色絵土瓶  高さ 16.3 cm  胴径 12.3 cm  蓋径 7.2 cm

ブログ 20 MAI

2017年 5月 20日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 日本を訪れたフランス人の方とお話をしておりまして、日仏の違いでとても驚いたことをお聞きしてみると、日本人のマスク姿がベストテンに入ってきます。「マスクをするほど深刻な病状なのに、日本人は会社や学校を休めないの? かわいそうに!」という感想を、何度となく耳にしました。他人への配慮や、花粉の防除など、確かに日本独特の理由はあるのですが、それだけではなかなか説明できない事も。もしかしたら、個性や本音を隠すと安心するからでしょうか?!
 お面の種類や配置には多少の差異はあるのですが、多く生産、輸出された形式の一つです。今日でも人気が衰えないということは、やはり優れたデザインだったのでしょう。実に楽しい土瓶です。

商品番号 1301   仮面土瓶  高さ 11.1 cm  胴径 11.3 cm  蓋径 7.0 cm

ブログ 10 MAI

2017年 5月 10日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 レオス・カラックスの「ボーイ・ミーツ・ガール」という映画に、こんな場面があります。少年が老女とお茶を飲むのですが、それは彼女のカップ。しかも縁が欠けています。間接キスをしたくない少年は、わざと飲みにくい欠けた部分に恐る恐る口をつけ、それを見た彼女は一言、「欠けた所から飲むのって、素敵よね」。彼女もそこから飲むのが好きだったと知って少年は愕然とする、という挿話です。
 ティーセットなどは、完璧に揃った状態で残るとは限りません。こちらのポットも、カップやクリーマーなどが欠けています。ところがハンサムな絵付けが捨てがたく、思わず連れ帰ったものです。やはり、和洋折衷はこれらの陶磁器の魅力の原点。「欠ける」という動詞から、今回は連想の赴くままの内容でした。

商品番号 1108   花鳥文ティーポット  高さ 19.0 cm  胴径 10.8 cm  蓋径 7.8 cm

ブログ 30 AVR

2017年 4月 30日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 さて、こちらは色々と問題のある土瓶です。同工異曲の様々なバージョンを俯瞰すると、最も古いものは大正時代、最も新しいものはオキュパイド・ジャパンの時期と、ほぼ40年の長きに渡って作られ続けたものなのですが、元になったオリジナルがどれなのか、未だ辿り着けずにいます。象の長い鼻と注口という形態は分かりやすく、乗り物として飼い馴らしているアジアのイメージからしても、西欧への輸出品として丁度良いモチーフだったのでしょう。蓋のつまみになっている人物は、象使いの場合も、仏陀らしき像の場合もあります。もしかしたら普賢菩薩像に依るのかもしれませんが、畏れ多くも指でつまむという発想は...。どなたか起源をご存知の方がいらっしゃいましたら、是非ご一報いただければと思います。
 待ちわびた、今ひとたびの春。思う限り、楽しんでいる毎日です。

商品番号 1102   象型土瓶  高さ 13.6 cm  蓋径 5.0×6.8 cm

ブログ 20 AVR

2017年 4月 20日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 急須や土瓶は曲面を組み合わせた形をしていますから、把手や注口などの突起部分も基本的には円柱に基づいて作られます。三角形、正方形、五角形や六角形などの図形を組み合わせる時には、面取りをしたり、カーブを付けたり、やはり曲線を使って全体の調和を計ることが殆ど。これは茶碗やカップなど、注がれる側の器の形とのバランスも意識されるからでしょう。角ばった湯呑みを出されたら、どこに口を付けていいのやら困惑してしまいますし...。
 脚の付いた太鼓型の金魚鉢はとてもインパクトがありますが、そこに把手と口をつけたようなこの土瓶も、同じようにはっと目を引きます。可愛らしい形なのに、日々の器の形として一般的でないのは、内側の洗いにくさが一因かもしれません。やはり、予め装飾品として作られたものなのでしょう。

参考商品   花鳥文太鼓土瓶  高さ 16.9 cm  胴径 11.0 × 14.0 cm  蓋径 5.1 × 6.8 cm

ブログ 10 AVR

2017年 4月 10日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 前回の小さな急須のことを、ぼんやりと、とりとめもなく考えているとふと、今は亡き或る知人の形見の提藍を思い出しました。あの小さな引き出しの中に、煎茶の道具一式が見事に収まっていましたっけ。ありあわせの準備でも、気心の知れた輩(ともがら)と愛でる花は、それはそれで美しいのですが、心を砕いて選ばれた野点の道具を携えての花見は、また一層格別なもの。飲めや歌えやにとどまらず、観桜を文化にまで高めた日本人の粋を楽しめる絶好の機会だと思います。
 こちらは把手が大陸風に作られています。しかも仕覆の紐のモチーフに。明治時代の万古の面白さは、他の追随を許しません。

商品番号 1106   鶴文急須  高さ 7.4 cm  胴径 7.3 cm  蓋径 5.1 cm

ブログ 30 MAR

2017年 3月 30日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 カエデの幹や枝が風雪で痛んだり、キツツキに穴をあけられたりして樹液が流れ出すと、エナガたちが喜んで集まってきます。もともと好奇心旺盛で物怖じしない鳥なのですが、ホバリングしながら樹液を舐めるのに夢中になっている最中には、大丈夫か、と心配になるほど接近させてくれます。カエデ、ミズキ、カバノキ、ヤナギなどの仲間の枝や冬芽は、凍てつく時分から既に春の命脈が宿っていて、エナガたちにはきっと、流れ広がる樹液の音が聞こえているのかもしれません。
 窯の中で行方不明にならなかったのだろうかと思うほど小さなものですが、細部まで丁寧に作られています。実用というよりは、予め決まった置き場所、目的など、特別な注文があったのかもしれません。

商品番号 1105   紫泥急須  高さ 6.4 cm  胴径 6.1 cm  蓋径 4.6 cm

ブログ 20 MAR

2017年 3月 20日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 地下鉄は一体どこから地下に入れるのか...という有名な漫才がありますが、陶磁器の遊環もまた、どうやって作られたのかを考えると、本当に不思議なものの一つです。こちらの急須は片手に収まるほどの可愛らしい大きさにも関わらず、驚くほど軽い薄手の練り込みの景色といい、直径1cmほどの遊環といい、作り手の技術の高さと抜群のセンスに満ちています。ガラス質の陶土を使っていることから、傾けるたびに小さな輪は、ちりちりと微かな小気味よい音まで立てるのです。一般的な大人の男性の手指のサイズを考えると、型や道具を駆使したとしても、やはり特別な仕事だったと思われます。
 春分を迎えた高原ですが、消え消(ぎ)えの白い根雪と、まだ硬く凍りついた大地の織りなす山麓は、この愛すべき急須のマーブル模様にも似ています。

商品番号 1104   練込遊環急須  高さ 8.0 cm  胴径 7.3 cm  蓋径 4.3 cm

ブログ 10 MAR

2017年 3月 10日
今季のテーマ  急須の二言、土瓶の三言 
 包む、結ぶという技術は、日本の生活様式の特徴の一つです。帯はもちろん、風呂敷から百貨店の包装紙に至るまで、立体を平面で装飾してしまうのに長けた文化だと言えるでしょう。包むために平面を立体の形に合わせて裁断するのではなく、折り、畳み、結んでは、立体の形自体に合わせてしまうという姿勢については、いつかもう少し深く掘り下げてみたいと思います。
 お祝い事のお料理を、美しく折り畳まれた和紙の器や、紐や水引などで飾られた食器でいただくことがありますが、この土瓶もそんなイメージです。結び目や折り目を粘土で表した繊細なディテール。「実を結ぶ」、「折り目正しい」など、次々とポジティブな言葉ばかり浮かんできます。そういえば「水を結ぶ(掬ぶ)」という表現もありますので、お洒落な遊び心の一つかもしれません。

商品番号 1101   花鳥文土瓶  高さ 12.2 cm  胴径 10.8 cm  蓋径 6.6 cm

ブログ 28 FEB

2017年 2月 28日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 欧州の方々のみならず、寒冷地に暮らす私たちにとりましても、マダケやモウソウチクの竹林はエキゾティックな存在。標高 800m 前後まで、マダケよりも遥かに華奢な姿の竹が植えられているのを見る程度です。一昨年、そんな竹に囲まれているお宅が火事になりました。建物はもちろん、竹も一緒に跡形もなくなったのですが、一年後、更地になった敷地には、元の竹の植え込みが、まるで何事もなかったかのように復活しました。この驚くべき生命力こそ、竹の目出度さの一つなのでしょう。
 これほど愛され、身近な存在であるにも関わらず、竹を主役にした絵付けは意外と少ないのです。もしかすると、竹の雰囲気が汎東洋的で、必ずしも日本を強調するものではなかったからかもしれません。
 この冬も、皆様には大変お世話になりました。季節が変わりますので、どうぞお体を大切にお過ごしくださいませ。時季のテーマは、「急須の二言(ふたこと)、土瓶の三言(みこと)」。ティーポットやコーヒポットも含め、造形の楽しい器たちをご紹介致します。

商品番号 1103   竹文皿  径 24.4 cm

ブログ 20 FEB

2017年 2月 20日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 明治生まれの祖母は、富士山のことを「お富士さん」と呼んでいました。子供心に、誰か知り合いの女の人のことを話しているのかと思ったものです。まだまだ高い建物の少なかった東京生まれでしたから、もしかしたら日常的に富士山が見えたのかもしれませんし、まだ富士講などが一般的だったからかもしれません。こんな風に敬意と親しみを込めて呼ばれる山々は沢山ありますが、富士山と東京の距離を考えると、やはり特別なものを感じます。
 こちらは印判と染付けの組み合わせの絵付け。この大きさになると非常に存在感があります。

商品番号 1104    富士図印判皿  径 28.7 cm

ブログ 10 FEB

2017年 2月 10日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 高原の裾野を少し下ると、空気の澄んだ日には富士山が間近に見えます。画家でもあった中学校の恩師は時々、こんな風に富士山の見える家に住んでいたら、毎日なんだか落ち着かないだろう、とおっしゃっていました。なだらかでアンフォルメルな山塊の隙に、型で抜いたかのような円錐形が突如として地平線を切り裂いてしまうのですから、その美しさには殆ど現実感がありません。特にくっきりと目に映る日には、見慣れているはずの地元の人々でさえ、車を止め、足を止め。家事や仕事が手につかなくなる程の眺め、確かにその通りです。
 雪景色の富士山は白抜きで描かれることが多いのですが、これは西洋の画家たちを唸らせた、浮世絵の表現方法の1つです。

参考商品   冬景色図皿  径 15.1 cm

ブログ 30 JAN

2017年 1月 30日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 フランス人男性を呉服屋さんへ案内すると、女性の着物の色や柄の豊富さが男物にはない理由を尋ねられることがあります。一方、脱ぎ着や足さばきの際にだけ見えるように、羽織や着物の裏地に鮮やかなものが使われているのも不思議に思われるようです。かつての日本の男性のお洒落は、単に見せびらかすものではなく、自分自身の意識を高めるためのものだったのかもしれません。分かる人にだけに分かればいい、という態度が粋だったのでしょう。ちなみに、フランスの文化は「見栄え」の文化。
 花瓶や皿に比べると、鉢の飾り方は少し難しいものです。内側の絵柄を見せると、側面が犠牲になります。そうなると手に取って横から眺める他ないのですが、よそ様のお宅で遠慮会釈なくできる行為ではありませんから、持ち主だけに許された楽しみ、となります。だからといって側面の装飾を等閑にしない作り手の姿勢に、男物の着物の裏地と共通の美意識を感じます。

参考商品   龍文輪花鉢(側面) 径 26.1 cm 高さ 8.8 cm

ブログ 20 JAN

2017年 1月 20日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 ツグミは高原の冬の庭でも普通に見られるものですから、シロハラやベニマシコがやって来た時のように大騒ぎにはなりません。しかし時折見せる、まるで彫刻のようにじっと木の間にまぎれている姿は、思索にふける孤高の賢者のよう。森の哲学者といえばフクロウですが、ふかふかの羽毛を逆立てて微動だにしないツグミもまた、そんな喩えに相応しい鳥です。
 世界に愛される深川の紺青が本当に奇麗です。波に千鳥の組み合わせが粋で爽快なイメージならば、鶴と波には大らかで優雅な印象があります。

商品番号:1302  飛鶴波涛図花器  高さ 14.2 cm 口径縦 12.2 cm 口径横 15.6 cm

ブログ 10 JAN

2017年 1月 10日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 本年も皆様にとりまして、どうぞ健やかで平穏な一年となりますように。とりわけ思いがけぬ出来事で辛く大変な思いをされた方々を思い、これを切に願います。
 混迷はその深さを増して、不確かな行く末ばかりが思い遣られる世にあって、小さく儚い喜びの一つ一つを拾っては繋ぎ止めていくような心の作用は、決してやさしいものではありません。とは申せ、諦めずに続けることにしましょう。織り上げられた綾に目を見張るのは、遥か遥か後(のち)のこと。
 きららかな白雪の高原にて、皆々様の、また一段のご活躍をお念じ致します。

参考商品 : 舞鶴図高杯  高さ 4.8 cm  径 17.7 cm

ブログ 30 DEC

2016年 12月 30日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 古典の中には、人の情けに厚く、名誉を重んじる古き良き日本人の姿が残っています。討ち入りの場面に年の瀬を感じるのも、やはり日本人だからこそ。こちらのセットは、恐らく12客のカップなど、もともと大きな規模のものでした。いつの日か、完全に揃ったものに出会える機会を楽しみにしています。
 本年も大変お世話になりました! 来たる一年の皆様のとりどりの幸福を、一同、心よりお祈り致しております。変わらぬご愛顧のほど、どうぞ宜しくお願い致します。

参考商品 : 忠臣蔵図ティーセット (部分)

ブログ 20 DEC

2016年 12月 20日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 相手の失敬な振舞いが、単なる無教養からか、はたまた故意か、困惑してしまうことが間々ありますが、そんな時は気付かぬ振りでやり過ごすに越したことはありません。たとえそれがわざとでも、無礼に無礼で応じるよりは、「皮肉も通じない」と思わせた方が楽。その人の方から離れていってくださいます。
 これとは逆に、相手の幸福を心から祝うための、日本古来の心遣いには、なるほど胸を打つものが沢山あります。模様や色、形などにもそれぞれ意味や思いが込められますから、例えば扇や、その柄のものが選ばれたり贈られれば、これからの弥栄を願ってくださっている真心に感じ入ってしまいます。人を貶めるためではなく、こうしたことに心を砕きたいものです。

商品番号 1403 : 扇文三脚カップ    カップ径 8.7 cm カップ高さ 5.9 cm ソーサー径 14.3 cm

ブログ 10 DEC

2016年 12月 10日
今季のテーマ  寿(ことほ)ぎの 
 源氏物語には、和歌をしたためた扇が何度か登場します。大切な人の直筆の言葉を折り畳んで携帯できる上に、色や絵柄、薫きしめた香りにまで意味や思いが込められているのですから、これほどの通信手段は滅多にありません。今日では差し詰めスマホということになるのでしょうけれど、その比で無いことは火を見るよりも明らか。こればかりは「退化」を託(かこ)つ次第です。
 竹籠の上に敷かれた扇に、梅が枝と蝶、蜻蛉が散りばめられています。型で作られたものの立体表現は、微細な部分にこだわったものだけではなく、色彩の配置の妙を一目で印象づけるような作品にも向いています。

商品番号 1109 : 扇文皿    径 22.3 cm

ブログ 30 NOV

2016年 11月 30日
今季のテーマ  "レ"・ジャポネーズ
 よく細部を眺めてみますと、人物を取り囲んでいる微細な菊の花が一輪一輪、丁寧に描かれています。これを1セット6枚描くのに要した技術と根気から、1日あたりに仕上がる数は限られていたでしょう。しかし、円周部のアラベスクにプリントが使われるなど、すべてを愚直に手書きしていたわけではなく、同じ物を効率よく大量に生産する工夫もうかがえます。出来映えの美しさと生産性、そして工芸の精神とビジネスとしての産業との交点に輸出陶磁器があった事実から、今日の私たちが学ぶことも多いように感じます。
 今季も大変お世話になりました。寒さも厳しさを増します折、どうぞ皆様、お元気でお過ごしくださいませ。次回のテーマは「寿(ことほ)ぎの」。皆様の来る1年のご多幸をお祈りする、吉祥のモチーフを中心にご紹介致します。

商品番号 1301 : 人物図皿    径 21.0 cm

ブログ 20 NOV

2016年 11月 20日
今季のテーマ  "レ"・ジャポネーズ
 能の「芦刈」の物語は、男女の情愛の温かさにほろりとさせられるものの1つです。今では落ちぶれ果てたかつての伴侶に、果たして慈しみ深い気持ちで対面することができるかどうか。情け、という言葉は、今日では同情や憐れみといった狭い意味で使われていますが、本来は細やかな感情の機微を感じ取ったり、それを表したりする心の動きを広く意味していたと思います。そんな「情け」を知る間柄というものは、時間も境遇も物ともしないのでしょう。
 市井の生活を描いた絵付けは決して多くないだけに、とても印象深いものです。このような作品の場合、遠くからは「色彩」として楽しめ、また近くからは細部の意味を楽しむこともできるようになっています。

参考商品 : 柴刈図トリオ     カップ高さ 4.7 cm  カップ径 9.5 cm  ソーサー径 14.2 cm  ケーキ皿径 18.5 cm

ブログ 10 NOV

2016年 11月 10日
今季のテーマ  "レ"・ジャポネーズ
 西欧の男性の間には、日本女性は可愛らしい、という伝統的なイメージがあります。その印象に貢献しているのが、着物、です。なにしろ体の動きが制限されますから、「はしたない」行動は自ずと不可能に。大和撫子諸姉の名誉に賭けて、そればかりではないと申し添えておきますが、やはり和服の女性の優美さ、可憐さは、日本男児も大いに認めるところです。着物はますます非日常化し、あと百年もすると、世界に於ける日本女性像も変わっているでしょうか。
 このような風俗画を描くには、お手本として、過去の絵や版画も勉強しなくてはならなかったでしょう。インターネットはおろか、図書館さえ一般的ではなかった時代を思うにつけ、絵付け師の方々の情熱と才能に感服することしきりです。

商品番号 1319 : 人物図花瓶     高さ 15.7 cm  口径 4.8 cm

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